2007.6.24 「第6回産学官連携推進会議に出席しました」
ここ3年、毎年見学に行っているのですが、6月16日、17日と京都・宝ヶ池の京都国際会館で開催されていた「第6回産学官連携推進会議」を見に行っていました。
会議のプログラムは、午前中に、大雑把な話があり、その後、午後からいくつかのテーマに関しての分科会が開かれるというものになっております。また、プログラムと平行してホールにおいては、大学や自治体などの産学官連携の取組みについての紹介ブースなどが立っており、それなりに盛り上がりを見せておりました。私自身は意識していなかったのですが、何年か前は、京都国際会館の駐車場が参加者の車でいっぱいになっていたとのことで、地元からの参加者も多かったようだという話だったのですが、今年は駐車場は結構空いておりました。あまり地元とは関係ないということや、何年もやっていてもそれほど新しい知見を得ることができないということもあるのかもしれません。
私自身は、午前中はブースをふらふらと回ったりしていたのですが、午後は分科会C「求められる高度理工系人材」を見に行っておりました。聴講者は500人はいただろうと思います。昨年はそういった分科会があったのかは覚えていないのですが、一昨年は同様な分科会が開催されておりました。そのときに比較したら、割と論点をしぼって話をしようという意志はあったようには思いました(司会の力量の問題だと思うのですが、結局ぐずぐずになってしまいましたが・・・)。また、パネリストの問題意識はかなりクリアにはなってきているようには思うのですが(今回の論点に沿った議論をしてくれたかどうかは別として)、会場の聴講者の意識は概ね進歩はしておらず、パネリストと会場の間での意識レベルにかなりの大きな開きがあるように感じました(パネリストの話が終わったあとで会場からも意見を求められたのですが、多くの人はただ自分の言いたいことを言っているだけで、あまり議論を生産的にしようという意志はなかったように思いました。私も手を挙げていたのですが、当ててもらえませんでした・・・。手を挙げて立ち上がって前に進み出ないといけなかったのかもしれません。)。
今回の論点は下記のとおりでした。
- 高度理工系人材に求められている資質は何か?なぜそのような資質が求められるのか?
- 現状の高度理工系人材の育成プロセスの何が問題なのか?
- 高度理工系人材が活躍してイノベーションの創出につながる好循環を生み出すために、大学・産業界・そして国は何をなすべきなのか?
今回のパネリストは下記のとおりです。それぞれが話していたことで私の印象に残っていることをここには記しておきます。
- 府川伊三郎 旭化成株式会社・顧問
- 化学系メーカーは昔は、米国の会社がやってもうまく量産にもっていけなかったプロダクトを量産までもっていければよかった。そういう意味で、昔はプロセス研究が重要だったが、昨今では、プロダクト研究が重要になっている。
- 化学系企業では自分が担当するテーマはころころと変る。また、取引先が自動車メーカーであったり、電機メーカーであったりするため、電気と化学とかバイオと化学といった技術融合型の分野も増えており、そういったことにキャッチアップできないといけない。
- 化学系企業のインターンシップは評判が悪い。インターンシップの学生に対して秘密のことをしゃべることができないので、それがインターンをつまらなくさせている要因になっている。今年度から日本化学会で東京・大阪で「博士セミナー」を開催するが、その中でケーススタディーのような形で企業での研究について伝えたい。
- 三木千壽 東京工業大学理事・副学長
- 東京工業大学の学部生は一学年1200人程度だが、修士課程では1800人程度と増えている(他所からも入ってくるので)。修士での教育は重要であるが、現在修士卒の就職活動がM1から始まるため、研究らしいことを経験する機会が時間的になくなってきてしまっている。実質的に修士課程の教育は破綻しているといえる。そのこともあり、博士一環コースを設けて学部卒業から4年くらいをかけて一人前に育てる教育をおこないたい。
- 博士には論文博士と課程博士がある。論文博士は研究の蓄積に対して与えられるが、課程博士はかならずしも研究の蓄積ではなく、どのようなことにも対応できる能力を養うことができたことが重要である。そのため、企業向きとか研究者向きとかどこ向きの人材なのかという視点で切り分けることはできない。
- 西岡郁夫 モバイル・インターネットキャピタル株式会社 代表取締役社長(シャープ研究所長→事業部長→インテルに転向なども経験)
- 日本の大企業では、名刺に「博士」を印刷することを遠慮する風土がある(偉い奴が来たと思われてしまう)(営業ではまた異なるのかもしれませんが、私の身近の人では「博士」を入れている人の方が多いように思います。取引先からは、ある研究グループに「博士」がいるということは、その分野に会社として力を入れていると認識してもらえるという面もあるようです)
- 従来から日本企業には大学の研究に依存してこなかったという歴史があり、そういった中で、大学における研究は市場ニーズを考慮しないものとなってきていた。昨今のリストラによって、企業は研究開発部門を縮小させており、大学などとの協業が必須になってきているが、それができない状況になっている。本来であれば、研究に関しては企業から大学に相談に行くようなものだとは思うのだが・・・。
- 一般論として日本の博士は優秀なのか?
- 藤田喜久雄 大阪大学大学院工学研究科・教授
最近の中央教育審議会の答申に沿って教育プログラムを作ろうとされている様子が伝わってまいりました。
- 元村有希子 毎日新聞東京本社科学環境部・記者
大学受験段階で理系・文系と分けてしまうのが問題なのではないかと主張されておりました。確かにそれも問題の一側面なのだとは思うのですが、そこまで話を広げてしまったため議論が完全に発散してしまいました。司会にはぜひ議論を戻してほしかったです。
どうやって今後、議論を広く広げていくのかといくのは課題だとは思うのですが、割とまともに議論ができる土壌は育ってきているようには感じました。
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