2005.5.3 「もうすぐホームページ開設2周年です」



2003年5月5日にホームページを開設して、もうすぐ2周年を迎えようとしています。この一年は、私自身にとっては、大学院を終了して社会人となるという大きな変化があった一年でしたし、「博士の生き方」にとっても、大きな変化のある一年となりました。

はじめに、「博士の生き方」のこの一年について述べさせていただくと、大きな変化が二点あります。ひとつは、ただ博士も就職活動をしようと就職に関する情報を提供するだけではなくて、実際に博士の就職の支援をしようと、人材紹介会社と連携して支援の方法の模索をはじめたこと。そしてもうひとつが、雑誌やシンポジウムなどで「博士の生き方」について書いたり、話したりという機会ができてより多くの人に「博士の生き方」について知っていただく機会が増えたということです。

「博士のための職業紹介」は、2004年の3月ごろに、知り合いの公認会計士の方に企業の求人広告をサイトに載せてみようかと思っているのだけれどと相談したところ、博士は高度に専門化されている人たちだから、もっときちんとマッチングまで面倒をみないといけないと助言され、その流れで、人材紹介会社を紹介していただいたのがきっかけではじまりました。その後、10月ごろにもう一社、知り合いの研究者の方から人材派遣・紹介会社を紹介していただき、現在、試行錯誤をしながら取り組んでいます。

2004年7月から「博士のための職業紹介」のモニターを募集していますが、現時点(2005年5月3日現在)、約20名程度の方から問い合わせがあり、実際に私たちと就職活動に取り組まれている方が累計で10名に上っております。そのうち3名の方が正社員もしくは任期付き研究員となられ、4名の方が現在新卒での採用を目指して就職活動に取り組まれています。現在、一時的な仕事に就かれている方もいらっしゃいますが、その方々についても引き続き支援を続けていくこととしております。

私の方で、履歴書・研究概要のチェックおよび、就職に関しての各種相談に応じておりますが、人材紹介会社を通しての職業紹介はまだうまくいっていないのが現状です。現在までに就職された方の場合は、私の方で、助言もさせてはいただきましたが、最終的にはご自身で自主的に活動をされて就職先を確保されておりますし、現在、新卒で活動をしていただいている4名の方にも、基本的には通常の新卒採用に応じていただくようにアドバイスをしております。

大手の人材紹介会社の場合(おそらく中小零細の人材紹介会社も同じと思いますが)、登録してくれた人のうちの1割から2割程度の就職を斡旋できたら御の字だということです。転職の場合は登録する人はとりあえず食べるのには困らないので、本当に切実に就職先を探している人が少ないということもあるのかもしれませんが、それにしてもあまり高い数字とはいえないと思います。

お金を出すのは求職者ではなく、求人を出している企業の方なので、特にある程度の量の求人をもっている人材会社の場合は、はじめに求人ありきで営業をしてしまうということも聞いております。私はこのようなはじめに求人ありきの現状に加えて、求職者ありきという状況もつくっていきたいと考えております。手持ちの求人にあてはまらないからという理由で、放置しておくのではなくて、求職者のもっている能力に見合ったところを求職者と一緒になって探していき(求人のあるなしにかかわらず)、採用候補の企業とともに仕事のすりあわせをおこなっていくということをやっていきたいと思っています。提携先の人材紹介会社とも話がまとまったら、またホームページ上でお知らせしたいと思っておりますので、そのときには、またモニターとして協力してくださる方がいらしたらぜひメールをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

また、昨年から、「博士の生き方」について書く機会や話す機会も何度かいただくことができました。次のような場所で発表させていただいたり、書かせていただいたりしました。

発表

寄稿

インタビュー

このようにそれなりにさまざまなところで発表の機会をいただいたそもそものきっかけは、7月の科学技術社会論学会のシンポジウムで発表したことではないかと感じております。このシンポジウムのときは、私は特に呼ばれて発表したというわけではなく、たまたま登録していたメーリングリストでシンポジウムの開催を知って、参加申し込みをして発表したのですが、このときに、産総研で「研究者のノンアカデミックキャリアパス」のプロジェクトを進めていた先生と知り合ってその取り組みに少し参加させていただいたことが、その後のいろいろな機会につながっていったように感じています。

「博士の生き方」は、現在は、私の個人的な取り組みに多くの人が協力してくださっているという形になっておりますが、今後、特に「博士のための職業紹介」については、私個人の力だけでは限界がありますので、もう少し協力者を得るとともに、ある程度、システムとして動いていくようにはしないといけないなとは思っております。

そして次に会社人間としての私についてですが、去年の4月に入社してはじめの3ヶ月間は、関西地方の工場で新人研修の一環として三交替勤務を経験したあと、しばらく埼玉県にある研究所に勤務しておりました。その後、異動で、栃木県にある開発センターに移ってきています。

まったくの異分野への転進だったため(核融合→光通信)、当初は戸惑いもありましたが、半年ぐらいしてなんとか慣れてまいりました。会社に入った思ったのは、私(博士)に期待されていることというのは、人を使って仕事を進めることだということです。これは、必ずしも自分を部下を使ってということではなくて、時にはかなり年上の同僚であったり、上司であったりもするのですが、プロジェクトが進むように周囲を説得して仕事を進めていかないといけないということです。去年は、プロジェクトの中の一部を与えられてそれをうまくまわるようにするのにがんばりましたが、今年からはもう少しプロジェクト全体を見渡しながらやらないといけないところを担当することになり、責任はさらに重くなりましたが、私をそういった箇所に投入してくれた期待に応えたいところだと思っています。

あと、新卒ドクターとして苦労しているというわけではないのですけれど、少し心にひかかっていることとしては、会社の同期や同年代の方たちとの距離のとり方をどうやったらいいのかよくわからないということです。会社の同年代の人たちも私と仕事以外の場でどう接していいのかわからないと思うのですが、私自身はどちらかというと、引っ込み思案で人見知りする方なので、特に必要に迫られたり、どうしても仲良くなりたいと思える人でない限りは自分からがんばってアプローチすることはまずないです。というわけで、普段会社で親しくさせていただいているのは、だいたい頼りになる年上の方々ばかりという感じになっております。会社の同年代の独身者の男の子や女の子たちが、一緒に仲良く遊んで青春を謳歌しているのを横目に見て少しうらやましいなと思わないでもないこのごろです。

最後に、この一年の自分を振り返って、視野を広げることの重要性を再認識しております。私は会社員をしておりますが、会社という「社会」しか知らなかったら、今の自分の状況を客観的に捉えることができなくなると思うのです。「博士の生き方」を主宰しているおかげで、いろいろな仕事をしている方と知り合いましたが、そういう方々と話していて、たとえば、ささいなこととしたら、自分の職場の人間関係は結構いいなとかそういったことも感じることができるようになります。また、会社の他にも社会があるということを知ることそのものが、人生を歩む上での心のゆとりにもつながると思うのです。

私の体験で申し訳ないのですが、小学校時代は、6年ほどクラスで担任をはじめとして、クラスメートからいじめられていたわけではないのですが、拒絶されていて、まだまだ社会経験の少ない当時の自分は世界から存在を否定されていたように感じたものです。このときも、たとえば、学校以外に世界があることを知っていて(たとえば同級生のいない遠くの進学塾とか、習い事とか)、学校以外で自分を受け入れてくれる世界があるということを知っていれば、日々暗澹たる気持ちで生活することもなかっただろうなと思います(いまだに理由なく群れることには心理的な抵抗があります)。

博士課程であったりポスドクにあって現在仕事探しをしている人というのも結局は私の小学校時代の体験と同じように、それしかないと思うと心理的に追い詰められてしまいますが、いろいろな可能性があることを知り、それをどのようにすれば実現できるのがわかれば、それほど追い詰められることもないのではなかろうかと考えております。私自身がこの一年でいろいろな人と出会えたことで視野を広げられたように、今年は、なんらかの形で出会いの場を設けるということもやっていきたいと考えています。

「博士の生き方」の3年目もどうぞよろしくお願いいたします。




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