2004.5.4 「ホームページ開設一周年を迎えるにあたって」



私がホームページ「博士の生き方」を開設してから、もうすぐ一周年になります。この一周年の間に、このホームページの一日あたりの訪問数は20くらいから200前後まで増えました。また、さまざまなサイトと相互リンクをさせていただいたり、おすすめサイト賞をいただいたりもしました。また、掲示板でも活発に書き込みをしていただけるようになりました。大勢の方に、感心をもっていただけたことがうれしいです。どうもありがとうございます。

私自身は、このホームページを開設した当時は、就職活動を修了して、実験装置の製作を再開していたところでした。その後の実験はいろいろとあったのですが、今春学位を取得して、内定していた化学関係の会社に就職いたしました。現在は、関西圏にある工場で現場実習をしています。現場実習を夏までこなすとその後、配属先に向かうことになります。これからは、社会人としての視点も含めて、博士課程について考えていけたらと思っております。

このホームページ開設の目的は、トップページにも書いてあるとおり、「大学院生・ポスドク、若手研究者の方々が将来について真剣に考えられる場を目指します。」ということで、博士の就職について考えることです。当初は「博士でも就職できる」というように考えておりましたが、現在では、少し考えが変わってきております。というのは「博士だから」というのは就職できない理由にはならないのではないかと考え始めつつあるからです。

このホームページは基本的に企業への就職をターゲットに据えて話を進めています。就職について考えてみて思うのですが、どうも博士の就職を、学士や修士の就職と同列にみなしていることが、問題を見えなくしているのではないかと考えています。極論になりますが、学士や修士に関しては、基礎学力以上のことは求められていないように感じられます(強いて言えば、フィーリングが合うというようなことは求められているかもしれませんが・・・)。それに対して博士に対してはやはり「専門家」もしくは「専門家予備軍」としての「何か」を求めているように感じます。入社してから知ったのですが、私はかなりの好待遇で迎えられています。どの程度の好待遇かというと、修士課程を修了して入社した人が最短時間で昇進を続けた場合に4年後に受けるであろう待遇と同じ待遇です。つまり、私の入社した会社の場合は、博士課程を修了した人間の受ける扱いは、修士課程を出て入社した人間の中でも運と能力に恵まれた人でなければ得られないものであるということです。「博士」という称号にはそれだけの期待が込められているということを理解しておく必要はあるのではないかと思います。それだけに、博士課程をいかにして密度の濃いものにするかが重要になってくると思われます。

博士の就職が厳しいのにはもちろん大学院での教育にも問題があるでしょうし、政府の政策にも問題があるのだと思います。でも、それらの改善を迫ったところで、急には変わるものではありません。なので、政府の失策を嘆いたり、大学院での恵まれない自分のおかれている状況を悔やむのは、自分自身が現在、直面している「就職」という問題を考えるときに何の解決にもならないと思います。それよりも、自分自身が変わった方が、解決になるのではないかと思います。他人を変えるのは困難ですが、自分自身を変えるのは、自分の決意があればできることなのですから。

最近、女性研究者の集まりがあって、そこで、博士課程の現状やこれから博士課程はどうあるべきか、博士課程の学生はどうするべきかということについて私が考えていることを講演させていただきました。博士課程の学生に対しては、「博士課程に進むべき動機を持つこと」と「将来に対しての展望をもつこと」が重要であると説きました。詳細はまた後日述べさせていただけたらと思います。その会合で最後に参加者の方々から一言ずつ感想をいただくことになったのですが、D3だという学生さんから、「自分の進路については考えたことがなかった。多分ポスドクになると思う」ということをうかがい、少しショックを受けました。ポスドクになるのは全然かまわないと思います。しかし、「ポスドクくらいにしかなれないだろう」という理由でポスドクになるのはご自分の将来のためにもぜひ避けていただけたらと思います。ぜひご自分の人生を大切にしていただけたらと考えております。

私自身も、博士課程までは、流れに任せるまま進んでしまった人間なのですが、博士課程が、それまでの課程とは違うということを肌で感じて、いかにして自分のおかれている状況を乗り切るかを考えるようになりました。どんな状況だろうと、どんな世の中だろうと、自分をどうにかできるのは結局は自分しかないと思います。ひょっとしたら自分の思い通りにはならず、妥協をいろいろと迫られることもあるとは思いますが、それでも、自分で選択してきたことであったのなら、ある程度の幸福感は得られるのではないかと思っています。ぜひ、状況に流されること無く、ご自分の人生について考えていってほしいと思います。そのための材料をこれからも少しずつですが、提供していけたらと思います。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。



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