2003.10.6 「大学経営改善の第一歩?」



少し古い新聞記事になってしまうのですが、9月2日付け日経新聞で「私大職員らの行政管理学会・大学経営に評価指標」という記事が載っておりました(日経の10月4日に特集が載っておりました)。内容は、これまで、大学はあまり経営というものを考えてこなかったので、大学行政管理学会が日本能率協会と共同で財政的に健全に経営していくにはどうしたらよいのかという目標を考えて、その目標がどの程度達成できたかをいくつか設問を設けて、数値的に評価していこうというものらしいです。その目標として「大学の使命」というものを定めたらしいのですが、それがどのようなものか以下にあげてみます。

  1. 入試の多様化と募集広報の充実
  2. 教育機能の充実(授業の品質)
  3. 学生生活の支援
  4. 社会に期待され、活躍できる人材の輩出
  5. 知の創造・継承
  6. 産学官連携の実践と起業の促進
  7. 地域に貢献する大学づくり
  8. 卒業生・卒業生父母に愛される大学づくり
  9. 健全な財政基盤の確立
  10. プロフェッショナルな職員養成と組織整備

これまでの大学においては、「1」に関してはどこも結構やっていたんじゃないかと思いますが(大学入試の多様化というのは、本当に教員泣かせの制度のようですけれど)、それ以外のことって、あまり関心がない大学って多かったのではないかと思います。どれも、大学経営において必要だと思われます。個々の大学がこれからどのような大学を目指していくのかにもよると思いますが(研究もおこなう大学になるのか主に勉強を教えることに特化するのか)、「2」〜「4」が特に重要になってくるのではないでしょうか?そうでなければ、大学立地地域にくず学生が迷惑をかけたり、父母からただ単に授業料を搾取するだけになってしまったり、社会に何も期待されていない学生がプータローになってしまったり、悪いうわさが広がって、受験生がいなくなり財政基盤が崩壊したりといったことになると思います。

多く大学はこういった「大学の使命」がほとんど守られていないのでしょうし、また守られていないからこそ、あえて、上記のような目標を作ったのでしょうが、上記の「2」〜「4」を実践した結果(もちろん上記の取り決めとはまったく関係なく行われた取り組みと思われますが)、人気が出てきている短大があるそうです。

その短大は一宮女子短期大学というトヨタ自動車のOBが学長ををしている短大なのですが、トヨタ自動車のOBが活躍しているという日経の記事の中でトヨタのカイゼンが役に立っているという例として紹介されていました。

現在の学長が赴任する前のこの短大は、入学者が最盛期から25%減り、さらに人件費は増え続けるという悲惨な状況にあったそうです。そこでこの学長は、学生をお客様であると同時に社会に送り出す大学の成果であると位置づけ、授業内容の改善と学生指導を変革したそうです。授業に関しては、事前に授業計画を立て、授業後の反省書を書き、それを次の授業にフィードバックさせていくことをやっているそうです。また学生指導に関しては、これまで低かった卒業生の学力面・人間的な面の質を上げるために、卒業までにいくつかの資格をとることを義務付けるとともに、週1度のリクルートスーツでの登校や茶髪禁止などを掲げ(茶髪だと就職指導などのサービスがうけられなくなるそうです)、学生が気を引き締めて勉学を行うような環境を作っているそうです。このような取り組みの結果、就職内定率(就職希望者のうち内定をとったものの割合)が通常の短大で90%程度であるところこの短大ではほぼ100%にまで達したそうです。そして、そういった教育内容や、就職に強いといううわさが地元だけでなく、近県にも伝わり、現在志願者が増加しているそうです。

「学生はお客様である」という言い訳で、学生とまともに向かい合わない学校というのは、小中高大学とどこでも多いような気がしますが、この短大のように徹底して学生の生活面にまで踏み込んでたるんだ精神の締めなおしをはかっている姿をみると気持ちよささえ感じます。

気力も学力もないどうしようもない学生でも相手にしなくてはいけないこれからの時代では、この短大がおこなった取り組みというのは、おそら多くの大学がおこなっていかないといけない取り組みだと思います。これは誰にとってもとても不幸なことだとい思うし、小中高でなんとかしてくれという気分にもなりますが、そんなことを言っていても、大学には学生を選びゆとりはないので仕方がないのでしょう。最近では、名門大学ばかりを採用するような大手企業(確か大手の鉄道会社の採用担当者か社長が語っている記事を読んだのですが)においても、新入社員を採用するときに、読み書きそろばんが多少怪しい人間でも採用しないと募集枠が埋まらないという事態も生じているようです。現在、大学が先陣をきって少子化の波を大きくかぶっているのではないでしょうか?この危機的状況をばねにして、よりよい人材を輩出できるように奮起してほしいと思っています。



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