電気系教員
- 博士学生の就職、ポスドクのキャリアパスについて:
- 電気系博士課程修了者の3分の2程度は、企業に行っており、企業に行くことが当たり前のことになっている。
- そのため、アカデミック分野だけではなく、企業に行っても世界をリードできるようなドクターを育てたいと思っている。
- ポスドクの就職問題というのは電気系のデバイスよりのところではあまりなじみがない。
- 博士課程で教育をされた結果はどうあるべきか:
- 修士課程を出て3年企業で働くのと、博士課程を出てから企業に就職するのとでは何が異なるべきなのかについて話をすることがあった。そのときに、企業の人から、「会社は個人のために教育はしない。会社には会社の目標があり、それに役立つようには教育はするが、個人のポテンシャルがあがるかどうかは個人個人による。博士課程の3年間では、その人間の研究能力が上がる。その3年間は、3年経てば埋められるというものではなく、生涯にわたってその差は埋まらないものだ」と言われ、なるほどと思った。
- 共同研究をしている会社の人が社会人ドクターを入学させてくることがある。その際に、ある社会人ドクターの上司から、「彼が社会人ドクターとして取り組むテーマは会社のプロジェクトとしてやっているが、そのプロジェクトがどうなってもかまわない。彼にサイエンティフィックな本質的なものの考え方を教えてほしい。現在、会社では、人海戦術で手当たり次第にやっていてそれでも成果は出ているが、本質的に物事を捉え、そこから問題を考え、どこに集中するべきか方向付けをできる人間が上に行かないと将来大変なことになる」と言われた。現状の体制に危機感をもっている会社もある。
- 我々の分野はエレクトロニクスデバイスである。この分野では、基礎の物理、材料からデバイスまでと幅が広い。そのため、材料をやっていてもシステムをやっていても全体が俯瞰できることが必要。さらに、ディスカッションを通して広い意識を育て、さまざまなことにも興味をもっていくことが必要と考える。
- その上で、自分で問題意識をもち、それをどう解決していくのかを考え、まとめていく力が必要である。
- 自分の考えを発信し、また人の話を聞くコミュニケーション能力が必要である。
- 博士課程の学生で、自分は今やっていることしかないという学生は多い。博士課程に進学希望をする学生に対しては、「今、君がしているのは、君が研究力をつけるためのツールだ。将来、就職したときに、分野が変ったとしても、君が身につけた研究力は活かせるはずだ」と話している。
- 博士課程の現在の問題点:
- 大学の研究室がタコツボ化しており、交流がない。先生方が各研究室のあるじになっていて、そこに干渉されることを嫌がるし、そこから人が出て行くことも嫌がる。そのために、学生も隣の研究室で何をやっているのかも知らないということになる。
- 最近は、競争が激しくなってきており、学生にテーマを与えて、彼が失敗してもじっくりとこらえて待つということがやりづらくなってきており、学生が悩んで悩んで問題をクリアしていくプロセスを与える時間も環境もなくなってきている。そのため、博士課程を出たときに漠然とした方向性が与えられたときに、そこから問題意識を見出し、デザインをしていくという能力が身につかない人材が出てきている。
- この10年間くらいの間に大学院の定員が増え、先生方の考えに差はあるが、全体的に定員を満たそうという意識はある。大学院の博士の目標が下がってきている傾向があり、修士との差がなくなってきているように思われる。
- 博士課程での取り組み:
- 専攻としての取組み:
- タコツボ化せず、広い視野で全体を俯瞰することができる力、自分で問題意識を持ちそれをどう解決するかを自分で考えまとめられる研究力、そして自分の考えを発信し、相手の話を聞くコミュニケーション能力の3点をいかに伸ばすかが重要だと考えている。
- そのため、一つとしては、研究室単位ではなく、他の研究室や他の専攻とまたがってプロジェクト型の研究をして、そのプロジェクトに入った学生を研究面でサポートするとともに、RA給を支給するということをおこなっている。これによって、若手の先生を中心として意識の変化がみられてきている。
- また、二つ目としては、経産省の社会人基礎力養成のプロジェクトにも参加している。これは研究室でモデルとなる学生を数名指定し、企業の研究開発経験者に入ってもらって研究報告について指導を受けるというものである。これは社会人基礎力として、コミュニケーション力とか発信力とかいくつかの項目があり、学生の研究に対する問題意識のあり方について、プレゼンの仕方になどについて、厳しい指導がある。これは特定の学生に対する指導であるが、周囲の学生にもよい影響を与えている。
- 研究室での取り組み:
- ある課題が与えられたときに自分から問題を見つけデザインをしていこうという能力を養っていくためには、学生が悩んで悩んで課題をクリアしていくプロセスが大切だと考えている。
- そのため、学生にはいくつかの研究をパラレルにはやらせるが、学生が何かをやりたいと言ってきたときには、無理だろうと思ってもとりあえずやらせてみる。
- ただ、学生を放任しているというわけではなく、毎朝ミーティングを開き、学生とディスカッションをして意識を共有していくことにしている。ただ、考えるのは学生である。他の研究室との共同研究についても、最初の話は自分がするが、あとのアポイントなどは学生に直接させるようにしている。
- しかし、学生には個人差があり、ユニークな人間もいればそうでない人間もいるので、学生をどこまで放置しておいていいのかの見極めは重要である。
- 以前、教育プログラムにかまけて学生を放置してしまっていたことがあったが、博士課程の学生が、彼とは研究テーマは異なるのだが、4年生とか年少者の面倒をみるようになった。現在、研究室に博士課程の学生は3名いるが、いずれもグループリーダー的なところはある。
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