第4回アンケート調査 博士課程修了者のキャリア選択に影響する社会的・文化的要因

回答受付期間:2008年2月25日〜2008年3月12日


今回、アンケート調査を行おうと考えたきっかけは、キャリア選択において個人はどの程度自分自身に対して責任を負うことができるのだろうかと思ったことです。もちろん、人生における責任は、その本人が最終的にすべてを被るものであるとは思うのですが、選択の過程においては個々人が責任を負ってはいるものの、その負担感を減らすような過程というものがあるのではないかと考えております。例えば学部生や修士課程の学生であれば一斉に就職活動をはじめますが、一斉にはじめるという点が学生たちのキャリア選択における負担感を緩和させるのに寄与していると思えますし、「ある専攻を選んだら、ある産業に就職するのが一般的」という既存の考えに従うというのもその一つだろうと考えております。博士課程においてこれらの方法が適切であるかどうかはまた別の問題ではありますが、人生選択におけるすべての責任を感じろというのは、なかなかきびしいものがあるように感じております。

キャリアパスの多様化ということも特に博士課程の修了者に対して、積極的に検討されるべきだとも言われております。少し前であれば知財関係の仕事を勧める動きがあり、最近では理科教師というのもいいんじゃないかということも言われたりはしておりますが、これらのように人工的に需要を作ろうという動きはそういった道を選ぶ本人たちにとって、また、彼らのいた研究分野の発展にとってもよいことなのだろうかという疑問をもっております。

博士課程修了者のキャリアパスについては、いわゆる自己責任論か無理にでも企業もしくは大学に雇用を作ろうとか新しい仕事を作ろうというような話になる場合が多かったように思います。しかし、大切なことは、支援された結果が本人たちにとって幸せであるということと、支援があったほうが、社会がよりよくなる見込みがあるということだろうと思います。自己責任で片付けるのであれば、特に人材育成について議論をおこなっていく必要はないでしょうし、本来需要のないところに無理やり需要を作るというようなことは社会のあり方をゆがめることにもつながり、自己責任で片付けるよりも悪い結果を誘発する可能性もあるだろうと思います。私自身は、社会にとっても本人たちにとってもより腑に落ちる自然な流れを作り出していくことがよりよいことなのではなかろうかとこのごろは考えております。今回のアンケート調査をそのような方策を探るための足がかりにしていきたいと考えております。

アンケート調査の分析はまだ終わってはおりません。ただ、まだ少し時間がかかりそうなので、一度、整理しておきたいと思い、3月の日本化学会において発表してきたところまでをまとめておきます。

ここで示すアンケート結果は、アンケートに回答してくださった方々を博士課程修了後に大学教員・ポスドクなどのアカデミックポストに就いた人と企業に就職した人とで分けて集計した結果です。これだけでは分析は足りないと考えておりますが、今後、更新をしていこうと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

  1. アンケート項目・アンケート案内(当時)
  2. 博士人材の就職先決定にいたるモデルの仮定
  3. アンケート回答者の属性
  4. 博士課程時代の周囲の博士人材の進路に関する認識と進路選択
  5. 修士課程時代の同期の進路に対する印象
  6. 博士課程時代に関心をもっていた仕事、就職活動時に希望していた就職先・業務内容
  7. 就職活動を始めた時期
  8. 就職希望先・希望業務内容を選択したきっかけ
  9. 博士課程修了後について仕事への満足度・博士課程進学に対する満足度
  10. 追加アンケート:ポスドク修了後の進路希望
  11. 追加アンケート:博士課程修了後の就職先に対してもっている印象
  12. ここまでのまとめ・謝辞(2008年5月2日)

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