第4回アンケート調査 ここまでのまとめ(2008年5月2日)


ここまでは、回答者を博士課程修了後にアカデミックポストに就いた人と企業に就職した人でわけて集計した結果を載せてまいりました。私自身としては、特にどちらに就職するのがいいということは現在のところは考えていないのですが、博士課程修了者にはアカデミック志向があるといわれている(それが今でも全般的にあてはまるのかどうかは、今回のアンケート結果から疑わしいと考えておりますが)現状においては、アカデミックポストに就いた人と企業に就職した人とでその性向の相違を見ることには意義があるのではないかと考えておりました。

関係があると考えていいのかどうかはもう少し考察が必要だとは思うのですが、アカデミック以外の進路を選択することは、「キャリア形成に関係する環境」における「自由にキャリアを選択してもよい」という雰囲気があった方がいいのではないかということがいえるのかもしれません。そういった雰囲気はどのようなことから醸成されていくのかということはまた検討されるべき課題だろうと考えております。

また、就職希望に関して、アカデミックポストを志望されている方の場合は、博士課程での研究テーマになるべく近いテーマを選ぼうとされている場合が多かったですが、企業就職をされた方の場合には、「大学院での研究を通して身につけた思考様式・行動様式を活かせる環境」まで範囲を広げる方もおられ、また実際に就いた仕事においても自分の専門を生かしているというわけではないという方が大勢みえました。通説として、企業では専門性を重視しないといわれておりますが、それを裏付ける結果とはなっておりますが、専門性を活かした就職をしている人もいます。どっちでもいいとは思うのですが、この場合にはこうした方がいい、あの場合にはこうした方がいいというものがあるのではないかと考えております。博士号をもっている人間はどのように遇されるのがよいのか、何がしかモデルを示していくこともできるのではないかと考えております。

今回の就職希望について気になったのは、アカデミック・企業の両方を希望していた人が回答者の二割強存在したことです。そしてそのような人たちは、博士課程時代の研究テーマとの近い分野を望んでいたということがわかりました。どのようないきさつで、そのような進路希望をもっていたのか、もっと知りたいところではあるのですが、何かここに社会の中で博士号取得者を活かしていくヒントがあるようにも感じております。また、ポスドクの方々への追加アンケートで、ポスドクに就いた時点で、かならずしもアカデミックのみを目指していたのではないということも、考えさせられるものがあると考えております。

就職希望先・希望業務内容を選択したきっかけとしては、「周囲の博士課程の先輩たちの就職活動を見たり聞いたりして」がもっとも多くの人から選ばれておりました。身近なところから得られるものであり、身近なために選択肢としての妥当性を強くもつのではないかと考えております。周囲の博士課程の先輩たちの就職活動から何を感じ取っているのかを調べることで、個々の人たちがその研究分野にいることによって、何を妥当なものと感じるのか(もちろん個人差があるでしょうけれど)ということを把握できるのではないだろうかと考えております。そこから、例えば現在、キャリアパスが不透明な分野においてキャリアパスの自然な流れを作り出していくヒントが得られないだろうかと考えております。

今回のアンケート調査では、422名もの方々に回答をしていただきました。回答をしてくださった方々には大いに感謝をしております。また、多くの方にアンケートへの回答の呼びかけをメーリングリストやブログなどを通しておこなってもらいました。今回の調査では本当に大勢の方々にご協力をしていただきました。このデータを無駄にすることなく、博士号取得者のキャリアパスの問題に対してよい示唆を与えられるように分析作業を今後も進めていきたいと考えております。本当にありがとうございました。今後ともご協力をどうぞよろしくお願いいたします。



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