第2回アンケート調査

3. 大学院博士課程に在籍して得られたものは何ですか?

4. 期待していたが大学院博士課程に在籍して得られなかったものは何ですか?


ここでは、「大学院博士課程に在籍して得られたものは何ですか?」と「4.期待していたが大学院博士課程に在籍して得られなかったものは何ですか?」の二つの設問を同時に取り上げることで、大学院への期待と失望について考えてみたいと思います。

はじめに、二つ目の質問を同じように、「博士の生き方」経由の回答者数の総数に対しての比率と、「博士の生き方」経由の理学系の回答者の理学系の総数に対する比率、「博士の生き方」経由の工学系の回答者の工学系の総数に対する比率、「博士の生き方」経由の学生回答者の学生全体に対する比率、「博士の生き方」経由のポスドク回答者のポスドクに対する比率、そしてアンケート調査全体の回答者の調査全体の人数に対する比率を示します。

図3-1:大学院博士課程に在籍して得られたものは何ですか?(複数回答可)

※割合が「1」を超えているところがあるが、このグラフが大きく異なるということはないと思うのでご了承ください

図3-2:期待していたが大学院博士課程に在籍して得られなかったものは何ですか?(複数回答可)

はじめに、図3−1について考えていきたいと思います。まず、多くの人間、理学系・工学系、学生・ポスドクに限らず大学院博士課程において、専門知識や専門に関する経験、研究に関しての遂行能力マネジメント能力が身につくと考えているようです。今後、研究を進める能力やマネジメント能力をなんらかの形で客観的に評価できるようになると「博士」というものがもっと評価されるようになるのではないだろうかと思います。このアンケートで少なくても大学院で研究を進める能力・マネジメント能力が身につくと考えている人が結構多くいるというのは救われる面もあるのではないかと思います。

ただ、図3−1で気になるのは、「2.大学院博士課程に進学した動機は何ですか」において、「研究したいテーマがあった」を選択している人がかなり多いにも係わらず、目だって高いということがないことです。実際に研究室に入ったら不本意な研究テーマを与えられたという人、実際に研究をしてみたら、それほど興味をもてなくなったなどいろいろな理由があるのかもしれません。研究にしても仕事にしても、おそらくは自分の意思で進められる環境というのが一番楽しいのではないかと思います。そういった環境を手に入れるためには、やはり自分で意義のある研究テーマを見つけられる能力を身につけられないといけないのだろうと思います。大学院において、そういったトレーニングをまずは積むことをさせることが必要なのではないかと思います。

図3-2については、得られなかったものとして「人的ネットワーク」「よりよい条件での就職」「アカデミックの世界で生きていくとい夢」を挙げておられる方が多いです。「人的ネットワーク」に関しては、学生よりもポスドクで挙げておられる方が多いのが印象的です。実際に職業として研究者を選択されて、人的ネットワークが足りないということを悟られるのかもしれません。ポスドクに限らないのですが、大学院時代におこなっていた研究にぴったりとはまる形で就職先を見つけられる方というのはとても少ないのではないかと思います。私自身に関しては、学会発表もしておりましたし、自分自身の研究分野についての研究会にもよく出ていましたが、それだけでなく、例えば、私の場合は研究のためにECRプラズマ源を作っておりましたので、マイクロ波関係の研究会にも出てもよかったのかもしれないなと感じることはあります。研究に関してもいくつかの切り口でネットワークを広げていくことというのはできるでしょうし、研究以外の場所でも、ネットワークをもっていくことというのはできるではないかと思います。人的ネットワーク作りに関しては、おそらく、会社に入ってしまってからよりも、学生時代の方が、分布に広がりをもった人間関係を築きやすいのではないかと思います。学生ということであれば、対価を求めずに会ってくれるという人も多いですし、時間的に自由も比較的利きやすいですし。学生時代にぜひともネットワーク作りには積極的になってもらえたらなと思います。

よりよい条件での就職ということだと、ポスドクだけでなく、学生でも同じくらい高くなっているのが印象的です。博士の就職が難しいといううわさを聞いて、それをあらかじめ覚悟してきたという一面もあるでしょうし、実際に、自分の先輩方がポスドクになったり、あるいは研究室に滞留してしまったりというのを見て、「よりよい条件での就職」はもう無理だと思ってしまうのかもしれません。「アカデミックの世界で生きていく夢」というのも、「よりよい条件での就職」ということと関連することのように感じます。

この二つのアンケートから、博士課程において専門に関する知識と経験、研究マネジメント能力が身につくにも係わらず、よりよい就職の条件からは遠ざかるというと考えている人が多いということがわかりました。博士課程で身についたことが、よいよい条件での就職につながっていくようにする教育課程、仕組み(アカデミック以外にも目を向けるような)が必要になってくるだろうと思います。

また、少数意見として、次のような意見が上がっております。

3. 大学院博士課程に在籍して得られたものは何ですか?

4. 期待していたが大学院博士課程に在籍して得られなかったものは何ですか?

「博士の生き方」全体「博士の生き方」理学系「博士の生き方」工学系「博士の生き方」学生「博士の生き方」ポスドクアンケート調査全体
専門分野に関する知識経験4735113115710
研究を進める上での手法やマネジメント能力352762310517
創造力119292197
根気・持続力22156165346
人的ネットワーク108172241
自分の将来を考えるための時間13103121229
よりよい条件での就職1101019
興味のある研究分野に取り組むチャンス19126117375
特に得られたものはない2110219
その他5325032
総数5746103619845

表3-1:大学院博士課程に在籍して得られたものは何ですか?

「博士の生き方」全体「博士の生き方」理学系「博士の生き方」工学系「博士の生き方」学生「博士の生き方」ポスドクアンケート調査全体
専門分野に関する知識経験3112053
研究を進める上での手法やマネジメント能力8624492
創造力108172128
根気・持続力1101033
人的ネットワーク1612488184
自分の将来を考えるための時間32002119
よりよい条件での就職24222168382
興味のある研究分野に取り組むチャンス6403184
一般的な社会常識1210275235
アカデミックの世界で生きていくという夢21145145228
その他5235049
総数5746103619845

表3-2:期待していたが大学院博士課程に在籍して得られなかったものは何ですか?



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