第36回:もうひとつのポスドク問題


ポスドクの就職難ということが文科省の委員会で取り上げられるようになったり、マスコミでも一部扱われるようになったりと、注目をされることでいい面もあるのですが、あまりに一面的な扱われ方をされる(ポスドクには仕事がない、ポスドクは職業人として未成熟であるなどなど)ことで悪い影響も出てきているように思います。

元々、大学人に対しては一般的に社会適応能力の低い人であるという認識がもたれてしまっておりますが、このごろのポスドク問題が取り上げられた影響で、人材紹介会社の一部のコンサルタントがそれを真に受けてポスドクの就職相談にまともに応じないという例も出てきているようです。

また、ポスドク問題に関しても、ポスドクの口がなくなってきているというようにも思われてきてしまっているようです。確かに、大都市圏でのポスドクの口はなくなってはきているようなのですが、地方においては、逆にポスドクのなり手がいなくて困っているという話も聞いております。また、地方大学においては、ポスドクを正規の職員への登用の一段階とみなしているところもあるらしく、かならずしも採用した人材をはじめからポイ捨てする気でいるというわけでもないようです。

地方でのポスドクのなり手がいないということを調べる上では、博士課程修了者なりポスドクの都道府県間の人口の流出入と実際のポスドクの求人状況も調べないといけないようには思うのですが、教員数に対しての博士課程修了者数の割合で都道府県ごとの博士課程修了者の多さを表してみることにしました。下記の図1は、平成17年度の各都道府県ごとの博士課程修了者数の教員数に対する割合を示しております。

図1 都道府県ごとの教員数に対する博士課程修了者の割合(平成17年度)

学校基本調査報告書より

図1において、縦に引かれた赤線は、全国の博士課程修了者総数の総教員数に対しての割合になります。見ていただいてわかるように、概ね大都市圏においては、教員数に対しての博士課程修了者の数が多いのに対して、地方では博士課程修了者が極めて少ない地域が散見されます。もっとも、地方も人材吸収能力自体はそれほど高くはないので、大挙して押し寄せられるとなんともならないとは思いますけれど。

「博士」の就職先がないという側面だけが強調される風潮がありますが、反対に「博士」に来て欲しいけれど、見向きもされていないという現状も存在するということは学生やポスドクは認識をしておく必要があると思いますし、報道機関や文科省の委員会においてもバランスをとって取り上げてほしいと思う次第です。

最後に、各都道府県における平成17年度の博士課程修了者数と、教員数の一覧表も参考として示しておこうと思います。

図2 都道府県ごとの博士課程修了者数と教員数(平成17年度)

学校基本調査報告書より




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