第32回:多様化する働き方と経済格差の拡大


このごろは、随分と働き方が多様化してきました。企業で働くにしても、正社員にいろいろと種類を設けるところがあったり、正社員だけでなく、派遣社員や契約社員、嘱託などいろいろな選択が可能です。正社員であったら、時として徹夜でがんばらないといけないときというのもありますが、派遣社員であれば、残業はやらないで夕方以降は自分のために使うということも、そういう希望を事前に派遣会社に出しておけば大丈夫でしょう。

どのような働き方を選択するのかということは、「働く」ということに対しての個々人の価値観の問題がありますし、必ずしも自分の意思だけで決められない場合というのもあるので、何がいいとは言えない面があります。

ただ、一つ言えることは、経済的な面というのは無視してはいけないということです。例えば、正社員という生き方を選んだ場合(どの会社に入るのかということにもよりますが)、派遣社員という生き方を選んだ場合、自分にはどれだけの収入が入ってくるだろうかということです。

参考資料を以下に示します。

図1 就業形態、9月の賃金総額(税込み)階級別労働者割合(平成15年・10月)

平成16年度・労働統計要覧

厚生労働省大臣官房統計情報部 編

図を見ていただくとわかりますが、正社員の賃金が、10万円以上40万円未満のところに入るのに対して、その他の働き方は全般的に賃金水準が低いことがわかります。正社員以外の就労形態の場合は、必ずしも、週5日間フルタイムで働いているわけではないということもあるとは思うのですが、特に派遣社員やパートタイム労働者のように時給制で働く労働者の場合、時給がいくらであるのかが重要となってきますので、収入が多いところになるほど割合が大きく落ちていっているのがわかります。

現在、大学院にいたり、ポスドクをされたりしている方というのは、親や本人がかなりの額を教育に投資しているはずですし、一人のドクターを出すのに、結構な額の国費が投じられているはずです。

博士課程の学生やポスドクの方で就職がなければ「派遣社員」になるということも視野に入れて考えているという方の話もときどき聞くようになってきました。

好きなことが研究できればそれでいいという道楽的な考えで研究をしている方もいらっしゃるかもしれませんが、多くの方は違うのではないかと思います。

多くの人は自分の仕事を通して、自分の存在を認めさせたいと思うでしょうし、それによって、最低、人並みには生活をしたいと思っているのではないかと思います。決して、時給いくらで働く労働者になることが研鑽に努めてきた先にあるゴールではないはずです。ぜひ、自分になされた投資が回収できるような仕事、そして自分にかけられた期待に応えられるような仕事についてほしいと願っています。




一つ前に戻る
次へ
もどる