第8回:足の裏の米粒がとれない!!


前回、人文科学分野での就職率のあまりにもの悲惨さに言及しました。話ではよく聞くことなのですが、人文科学や社会科学では、博士号を取るのが極めて困難であると聞いたことがあります。実際にはどうなんでしょう?例によって、学校基本調査報告書から集計をとってみました。

図1 博士課程修了者の内満期退学者の割合


図からも人文科学、社会科学、教育の満期退学の割合が突出して多いのがわかると思います。私は文科系の実態を知らないので、憶測でしかものを言えないのですが、これらの満期退学が多い分野というのは博士課程の学生はすべて大学に残るということを前提にしているのかなと感じます。まあ、全員大学に残してもらって、じっくりと研究に取り組めるということであれば問題はないのかもしれませんが、あきらかにそういった枠からあぶれてしまって、博士号もとれないまま社会に放り出されて、社会的にも経済的にも破壊された人間がでてきていると考えるとやりきれなくなってきます。大学に助手として採用されれば問題はないのでしょうが、学位をもたないまま、放り出されると今後、研強者としてのキャリアを積んでいこうとする上で大きなハンディキャップを背負ってしまうことになりそうです。

以前、すごい話を聞いたことがあります。私の知り合いの方が見たというテレビ番組についてなのですが、海外から日本のとある大学の経済学部の博士課程に留学してきた人が博士号をとるまでの苦闘の記録を放送していたそうです。その留学生の方は結局、博士号を取れずに祖国に帰ってしまったのですが、学位審査が終わったあとのインタビューで、審査をした教授の一人が、「うちは博士課程を設置して以来、一人も博士号を授与したことがないくらいに厳格な審査をしているんです」とほこらしげに言っていたそうです。厳格な審査を誇るよりも、「厳格な審査」とやらをパスできないような学生しか輩出できない自分たちの教育能力の低さを恥じるべきだと思うのですが、どんなものなのでしょう?もしも、このようなことが文科系で常態化しているとしたら、そのうち誰も文科系で博士に行こうなんてわざわざ考えなくなるのではないですかね。

2003.11.15 追記

知り合いから教えてもらった、博士号を取れなかった留学生を扱ったテレビ番組のことなのですが、この番組を見たという方から番組名を教えていただきました。

「私の太陽」:http://www.fujitv.co.jp/jp/b_hp/ryugaku3/

中国から、経済学の博士号を取りに日本に来たお父さんとその家族の物語です。どうやら、最初の学位の申請では学位を取れなかったそうなのですが、その後もがんばり、6年目にして学位を取得され、その大学の第一号経済学博士になられたそうです。そしてその後は母国の大学の助教授になられたとのことです。どうも私の知り合いは番組を途中までしか見ていなかったようです。



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