第7回:博士課程の分野毎の就職率


博士課程の就職率はこの40年ほど、ずっと60%前後をキープしてきたということを以前述べましたが、体感的に、そんな高いはずはないとか、もっと高いのではないかなどと思うこともあるかもしれません。個々人の体験によっておそらく大きな差があるとは思うのですが、ここでは、とりあえず、各分野毎での就職率の変化を追っていきたいと思います。

まずは、はじめに、各分野毎での就職率の推移を以下にまとめます(学校基本調査報告書H3-H14)

図1 博士課程修了者の各分野毎の就職率

上の図を見ていただくとわかるように、分野毎にかなり顕著な差が生じています。全体的に低下傾向を続けています。このグラフを見ると、保健がだいたい7割台をキープして安定しています。保健で全体の3割を占めており、このために全体の就職率が上がっていたということになります。人文科学、社会科学、教育といった分野の低すぎる就職率が覆い隠されていたようです。全体的に落ち込みが激しい中でも、特に人文科学の落ち込みは、もともとの就職率が低かったことからも深刻といえます。H3での就職率4割から、H14の就職率2割8分まで下がってしまっています。人文科学の場合、満期退学者を含めた修了者がこの10年の間に1.6倍に増えながらも、就職をした人数がほとんど変わっていないという事実があります。これには、人文科学独特の風習かとしか思えないある状況もからんでいるのかもしれません。真相は私にはわかりませんが、気付いたことを次の回に示したいと思います。就職率の減少には明らかに、博士の増加に対して社会の受入体制や大学人や学生達の意識が追いついていないという事態が想定されそうです。この10年の間に、博士修了者が2倍になったのに対して、学部生はだいたい1.2倍程度にしかなっていないようです。それぞれの就職率の下落を考えた場合、博士たちはそれなりに就職先を開拓してはきているのかなとは思います。それとも、ただ「ポスドク1万人支援計画」の効果が発揮されているだけなのか?またおいおい見ていきたいと思います。




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