第3回:ポストドクターの後


このコーナーの第1回、「博士課程修了者の選択肢」の中において、ポスドクを進路に選ぶ人間が全体の1/5におよぶことを示しました。ポスドクは、博士課程修了者にとっては、大学教官になることと並ぶ主要な進路となっています。しかし、ポスドクは任期制のため、任期が切れるまでに新たな進路を見付けないといけません。また、このごろはポスドクになる人は、ポスドクをパーマネントの職を得るまでのつなぎと考える傾向も強くなっているようです。それでは、ポスドクを進路に選択した人達は当初の思惑通りに、ポスドクの任期が切れたあとで、円滑にパーマネントの職を得ることができているのでしょうか?平成12年4月1日現在での日本学術振興会(学振)のポスドクの終了直後の就職状況、終了後5年経過時での就職状況を示してみたいと思います(第3回人材委員会資料より)。

修了直後修了後5年経過
(人)(%)(人)(%)
常勤の研究職37747.723883.8
(大学教官)(322)(40.8)(210)(73.9)
(国公立研究所等研究員)(29)(3.7)(19)(6.7)
(民間研究所研究員)(26)(3.3)(9)(3.1)
ポストドク20525.9103.5
(国内PD)(121)(15.3)(3)(1.1)
(国外PD)(84)(10.6)(7)(2.5)
その他20826.33612.7
(非常勤の研究職)(116)(14.7)(8)(2.8)
(民間企業等の非研究職)(9)(1.1)(9)(3.2)
(その他の職)(56)(7.1)(3)(1.1)
(無職・不明)(27)(3.4)(16)(5.6)
合計 790100284100

※この表で、「修了直後」とは、平成9-平成11年度の採用者であり、「修了後5年後」とは、平成4-平成6年度の採用者である。



「修了直後」のデータは、平成9年-平成11年度の間に学振に採用された人に関しての進路ですが、この期間に学振に採用された人は、丁度、ポストドクター等一万人支援計画によって、ポスドク枠が激増していたときに採用された人々であり(平成11年度にポスドク一万人が達成されています)、現在のポスドクの人達が抱える雇用問題のさきがけになっている方々かもしれません。合計が790人となっていますが、この数字は、学術振興会のホームページで示されている平成15年度ポスドク採用者数よりも若干多い程度なので、この頃からほぼ採用数が一定になっているのかもしれません。修了直後の常勤ポストについている率は、47.7%であり、常勤ポストを得るまでのつなぎとして考えた場合、この数字は私にはそれほど魅力的なものには思えませんが、新卒で大学教官になる人間の割合15%(第1回より)と比べると大学教官についている人間の割合は飛躍的に多くなっており、大学教官になるための修行期間として、それなりに認識されてきているのかなと思われます。その一方で、民間研究機関や民間の非研究職に就く人の割合は博士課程新卒の割合に対して激減しており(約10%(新卒)→約5%(ポスドク))、ポスドクになることは確実に進路選択の幅は狭まることを示しています。自分はどのような道に進むべきなのか、早めに見極めることが大事になってきているようです。

「修了後5年経過時」については、8割程度の人間が常勤の研究ポストに就いているようですが、これはあくまでも参考データと考えておいた方がよいと思います。というのは、このデータで示されている人達は、まだ問題が現在ほどには顕在化する前にポスドクを経験されてきた方々だからです。合計人数も、284名と、「修了直後」に比べて少ないことがわかります。したがって、このデータは現在、ポスドクを経験されている方々の8割が、5年後に常勤ポストにつくことができるという保障にはなりません。


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