研究職転向へ向けての模索

名前:Sさん 

所属:製薬会社 


Sさんからのメール

はじめまして。地方国立大学の修士を修了し、製薬会社に勤める2年目(26才)のものです。生産技術職として会社に入ったのですが、私の会社は製造職と同じです。一日中、薬を製造するラインに入り製造を行っています。  

私が入社前に想像していた仕事内容と現在の仕事内容にギャップが非常にあり、退職を考えています。やはり、研究職としてやっていきたいという気持ちが非常に強いです。そこで、転職をしようと思い、リクルートエイブリックに登録しコンサルタントと相談したのですが、中途採用は経験がすべてのようで、未経験の仕事は非常に難しいといわれました。何社か受けたのですが、やはり経験(社会に出てからの研究の経験)がないということで全て落ちてしまいました。

大学時代の担当教官に相談したところ、博士課程に進学したらどうだと言われました。私も就職する以前から博士課程に興味があり、また、博士号を取得すれば新しい道が開けると思い進学を考えています。

ただ、心配なのは就職です。博士を取るころには30才になっています。担当教官には、博士を取ることは保障するけど、就職に関しては保障することができないと言われました。でも、現在、自分の力で転職するよりは博士を取って大学推薦で会社を受けたほうのが、会社に入りやすいとも言われました。

さまざまな生き方を読んで、やはり就職が相当難しいというのが分かりました。博士をとってもフリーター の人もある程度いるというのも分かりました。

会社を辞めて博士号を取ってまた、民間に就職した人がいたら是非教えて頂きたいのですが。 アドバイスのほどよろしくお願い致します。




トリムからの返信

Sさん、はじめまして。

トリムと申します。メールどうもありがとうございました。

仕事とのギャップに悩まれ、現在、研究職への転進をめざそうと考えられている こと、読ませていただきました。

私の身近で企業から博士課程に進まれて、再び企業へ就職された方といいますと、一人しか知らないです。その方は、修士修了後、大手電機メーカーに入ったのですが、どうも性にあわなかったようで、1年で自分の元の研究室に戻ってきて、4年間かけて博士課程を修了後、指導教官の紹介で東大阪の中小企業に入られました。博士課程での4年間は傍から見ていると楽しそうでした。

あと、知っているのは、会社をやめて、大学院修士課程に進まれて、現在大学院博士課程に在学中という方もいます。その方の場合は、会社に勤める前は文科系の大学に行っていたそうで、そのチャレンジ精神はすごいなと思いました。その方がこれからどうなるのかはわかりませんけれど。

年齢という点を気になさるのなら、20台の後半で周囲の勧めもあって大学に入り、35歳で大学院の修士課程を修了し、指導教官の紹介で地元のベンチャー企業に入られた方というのも知っております。その方は大学受験のときに受けた京大オープン模試で女性受験者の中で1位をとってしまったという凄い方でした。

博士課程に進学して、民間に就職している人は、だいたい指導教官の紹介という形が多いようです。なので、Sさんが相談をなさっている教官の場合は、就職を紹介できないかもしれないと率直に語っている以上、その方の研究室に入るのはあまりお勧めできません。

Sさんが、これから博士課程に進学するにあたって踏まなければならないステップがいくつかあると思います。

一つ目としては、まず何を研究したいかということです。Sさんご自身の興味もあるでしょうし、やはり今後の発展が見込める分野を選ぶべきでしょうし、Sさんご自身の適正もあると思われます。いくつかの視点があると思います。

そして、何を研究したいかある程度絞れたら、今度は、どの研究室に行くかということを考えないといけません。研究室を選ぶ上では、一つには学生が自立的に研究している研究室がどうかをしっかりと見極める必要があると思います。例えば、世間をあっと言わせるワールドレコードをたたき出しているような研究室でも、そういった研究がすべて指導教官の手によって企画されており、学生はただのオペレータにすぎないというような研究室には手を出すべきではないですし、学生をただの労働力としか考えていないような研究室もお勧めできません。そういうことは実際に研究室を訪問して、学生の実験風景や学生部屋の様子を見たり、学生と実際に研究についてや日々の生活について話してみたりすればおぼろげに理解できることかもしれません。

また、研究室を選ぶ上では、そこの博士課程の修了者がどのような進路を進んでいるのか、その進路が決まった時期はいつか、どういう経緯でその進路が決まったのか(公募に応募したとか、指導教官が推薦してくれたなど)も調べておかなければならないと思います。これはSさんが行きたいと思う研究室の教官に聞けば教えてくれるのではないでしょうか?そして、できれば、その研究室を卒業された博士の方に、在学時の生活や研究について、よく聞いておくと参考になるかもしれません。

博士課程への進学はリスクが伴いますし、Sさんの場合は、現在の会社を辞めて進学しようと考えられているわけですから、博士課程の3年間で満足のいける成果を出すためにも、ことを慎重に進める必要があると思います。

あと、資金の手立ても忘れずにしてください。博士課程在学時の生活費・授業料は結構かかります。

もしも、可能であれば、大学院の博士課程に社会人入学するという手もあると思います。仕事との両立で余暇はなくなってしまうかもしれませんが、リスクは軽減できると思います。

博士課程終了時で30歳というのはそれほど年をとっているというわけでもないと思いますが、ぎりぎりのところかもしれません。



次へ
もどる