「早稲田再生〜財の独立なくして学の独立なし〜

関 昭太郎(せき しょうたろう)著  ダイヤモンド社 1800円+税 2005年2月10日初版発行


18歳人口の減少や、国立大学法人化などによって、大学を取り巻く経営状況はきびしいものとなりつつあります。早稲田大学についても例外ではなくしばしば経営が危ないといった内容は、少し前までなら週刊誌にも載っていた記憶があります。著者は、長らく証券業界に籍をおき、証券会社の社長を引退したあと、早稲田大学の財務担当理事に就任し、「民間」の視点から、大学の改革を進めていきます。

著者は、財務担当理事に就任した当時、大学には「経営」という概念が存在していないことに驚愕します。前任者から仕事を引き継ぐときに、「財務は後追いである」という考えをもっており、財務は教学に求められた金額を金融機関から調達して、返済することのみであるという考えをもっていたといいます。仕事を引き継ぐときには「どのような目標を掲げており、どれが達成できてどれが達成できなかったのか」を話すものだと考えていた著者にとっては信じられなかったようです。

その後、著者は、教職員および事務職員のコスト意識を持たせる試みから初めて、徐々に大学の財政にメスを入れていきます。そして、就任当時390億円あった借金が10年で200億円未満に半減したそうです。これは、ただコストにメスを入れただけではなく、次の時代のことを見つめてそれなりに投資もしても結果です。

著者は「教学」と「財務」は車の両輪だと述べております。教学の新規計画(新しい学部の設立とか)に財務がはじめから参加しなければ、財政に裏付けられた計画を立てることができないと述べております。これまでは、教学に言われるままに、資金を調達していたことから無計画な借り入れやその場しのぎの支出が多くなっており、それが大学の財政を圧迫する結果になったと述べております。

日本の大学の今後のあり方についての一つの示唆を与えてくれている本だと思います。



一つ前に戻る
次へ
もどる