「ザ・ゴール」

エリヤフ・ゴールドラット著 三本木 亮(さんぼんぎ りょう)訳 ダイヤモンド社 1600円+税 2001年5月17日初版発行


アメリカで発刊されてから、15年間、日本での翻訳本の出版が許可されなかったという伝説の本のようです。この本は著者であるエリヤフ・ゴールドラット博士が開発した生産管理手法であるTOC(Theory of constraints=制約条件の理論)なるものを説明するための書いたもののようです。ゴールドラット博士が、日本へのこの本の紹介をためらったのは、博士の弁によると日本人は部分最適化の手法に関しては世界で超一級に長けているので、「ザ・ゴール」で示しているTOCによる全体最適化の手法を学んでしまったら、貿易摩擦が再燃してしまい、世界経済が再び混乱してしまうということだったそうです。こういうことを聞いてしまうと出版が許可されたのは喜ばしいことなのかどうなのか少し考えてしまいます。

で、この本の内容ですが、物語でTOCの手法について説明しています。舞台はアメリカのある機械メーカーの工場です。この工場は、長引く採算悪化を理由にして3ヶ月以内に業績が改善しなければ工場を閉鎖すると本部から告げられてしまいます。そんな絶望的な状況におかれてる主人公である工場長アレックス・ロゴは、飛行場で昔の恩師ジョナに出会います。そしてジョナの助言に助けられつつ工場の再建に取り組んでいきます。この工場では(といいますか本部の方針なのですが)、各部署での生産効率を最大化するために、各部署で適当に仕事を割り当てて、どんどん在庫の山を築いていっていました。これに対して会社の目的、つまり工場での生産の目的は生産効率を最大化することではなく、よりたくさん儲けることであると定め、、そのためには、各部署での生産効率を最大化することが必要なのでなく、いかにしてスループット(お客の手に渡る製品の量)を増やし、かつ在庫を減らしていかないといけないと考え、ジョナの教えに基づき、いろいろと生産に関する考え方を変えていきます。在庫の山で足の踏み場もなかった工場はさまざまに発生する問題を解決していき、徐々に在庫が減っていき、最後は会社の中でもっとも生産性の高い工場となります。

この本では、TOCに関しての思考プロセスが主人公たちの行動を通してわかるようになっています。これから就職をするとおそらく工場実習なんていうものもあるかもしれません。そのとき、この本の内容を少し頭に入れておくと工場実習もただしんどいだけでなく、ちょっとはあれこれと考えたりして楽しく過ごせるようになるかもしれません。



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