「脱藩ベンチャーの挑戦〜技術者よ、殻を破ってみないか〜

飯塚 哲哉(いいづか てつや) PHP研究所 1300円+税 2003年3月28日初版発行



著者は、70年代、集積回路が工業化されつつあった時期に東京大学工学部にて半導体研究にて博士号を取得して東芝入社、東芝半導体技術研究所開発部長を経て、半導体のファブレスメーカ(半導体製品を開発設計して、製造を外部に委託する形態の企業)であるザインエレクトロニクスを創業した技術者出身のベンチャー企業家です。この本は、著者の幼少時代から大学院時代の体験を経て、東芝入社後の海外派遣や社内での仕事を通じて感じたこと、企業を創業してから感じたことを時系列に従って書き進めていっています。「技術開発に投資できなくなった日本企業」「若者に蔓延する『こんなもんじゃん症候群』」「転職に立ちはだかる『3人のカアチャン』」など、日本の体力を徐々に奪っていっている問題にも触れております。また、日本の技術者の特徴として「階級移行」に興味を示さない人が多いという問題にも触れています。ここでいう「階級移行」とは、技術者から企業家へ、そして企業家から投資家へという移行です。つまりより技術というものをより幅広い視野から見られる立場へ向かう志向ということだろうと思います。日本においては理系大学出身者の生涯賃金が文系出身者よりも低いという実態がありますが、そういった志向をもつ人間が少ないということも影響をしているのかもしれません。また、この本は著者が半導体産業に身をおいているので、現在の半導体ビジネスの実情を少し垣間見ることもできると思います。半導体業界に興味のある人は読んでおくとためになることもあると思います。

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