「正社員時代の終焉〜多様な働き手のマネジメント手法を求めて〜

大久保 幸夫(おおくぼ ゆきお)著  日経BP社  1600円+税 2006年2月20日初版発行

この本の紹介を何かの雑誌で読んだときに、思ったのは現在進行している非正規社員化(派遣社員、アルバイト、業務委託など)の流れを正当化するための本なのかなと思い、しばらく手に取ることはありませんでした。

この本自体は、非正社員化の進行をまずは流れとしてはあることを前提としてはいるのですが、日本企業が海外展開をしていく中で、どうも現地社員のマネジメントにもうまくいっていないということを例に挙げて、どうも日本企業の「正社員」という仕組みに問題があるのだろうかと述べております。

著者は「正社員」の意味として「日本人・新卒一括採用・男性」という人物を対象とした「仕事も勤務地も勤務時間も期限も限定しない働き方」としており、このようなモデルについていけない人間は仕事の機会や報酬などの面で不利な扱いを受けてしまうと考えております。そして、これからは、多様な人々がそれぞれに見合った役割と期待を持たされて働けるようにしていかないと、今後の企業で必要となるプロフェッショナルな人材は育っていかないだろうと述べています。

著者は、今後、企業が人をひきつけていく魅力としてキーとなるのはその企業にどれだけ人材を育成する力があるかということだろうと述べております。ビジネスの世界で生きていける基礎的な力が身につき、その上に専門的な力を築いていけるような環境、そして会社を辞めたとしても生きていける力を養っていける環境求めて人は動いていくだろうといいます。

著者は、今後、会社ごとにその経営戦略に基づいてさまざまな人事制度のスタイルが出てくるのではないかと考えているようです。また、人材ビジネスや教育ビジネスにおける企業の社会的責任も強く求められてくるのではなかろうかとのことです。

この本は、副題のとおり、企業のマネジメント側に向けて書かれたものでありますが、現在の日本の会社組織の中で起きている混乱を整理して概観する上でとてもよい本であると感じました。



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