この方の本は以前にもこのコーナーで取り上げておりまして(「新卒無業」)、これが二冊目の紹介になります。
筆者は、リクルートワークス研究所の所長をされている方で、人材マネジメント、キャリアデザイン関係の専門家なのですが、長年、就職に関する仕事をやっていて、求職者と求人側での求められている能力、求めている能力に関してのミスマッチがあるのではないかと考えてみえるようです。
求職者側の誤解としては、やりたいことがないといけないもしくはやりたいことに向かって突き進まないといけないという誤解、資格をとっておれば安心という誤解など、さまざまな誤解があると述べております。
この本で述べられていることは、人間関係のあり方が、年齢や立場によってどのように変わっていくのか、もしくはどのようにあるべきなのかということだと思っております。この主題を踏まえて、もっと広く人生を豊かにそして有意義にするために身につけておいた方がよい能力について、どのくらいの年齢のときに身につけておくとよいかといったことを述べているように感じます。この本で述べているのは次の12の力です。
さまざまな能力が挙げられているのですが、特に人間関係を円滑にし、楽しい人生を送る上での基礎となる力は著者も言っておりますが、一番目と二番目の「反応力」「愛嬌力」ということになろうかと日常を振り返って思います。
「反応力」というのは相手の話を聞いているぞという反応を例えばうなずくとか質問をするといった方法で、返すことです。話をする側からの気持ちとして相手の反応がなかったときを考えてみると、例えば塾の講師をやったり、学会で発表をしたり、ミーティングで報告をしたりと言ったときに、相手が自分の話をどう思っているのかわからなかったらとても不安になると思います。逆に、自分の話にうなづいてくれていたり、質問がでたりすると、何か話がのってくることがあるのではないかと思います。
相手の話を聞くときに、話をつまらなそうに聞いていたり、ましてや寝てしまったりしてしまうと、そのときに相手からいろいろとたくさんの話を聞けなくなるだけではなく、相手の心証を害することにもなってしまう場合もあるのではないかと思います。
生きていくうえでは常に学習が必要となりますが、反応力というのは自分がよい生徒になるために最低限必要なスキルではないかと思います。
次に愛嬌力です。昔「男は度胸、女は愛嬌」(間違っていたらごめんない)というコマーシャルがあったよう記憶しておりますが、愛嬌は男性にも女性にもあったほうがよい能力のように感じます。本の著者は、愛嬌力を人間関係をうまく処理する能力に結びつくと述べております。愛嬌を一言で説明するのが私には難しいのですが、表情とか心配りといったことで、相手から親しみをもってもらう能力ということになるのかもしれません。
このごろは、「自己実現」という言葉がはやっておりますが、そういったことは周りの人たちとの関係の中で自分なり自分のやっていることが受け入れられ認められていく過程で育まれていくもので、自分ひとりで実現できるものではないと思っております。周囲との関係を考えずにやりたいことをやるということであれば、それはただの「自己満足」に過ぎないと思っております。
この本は、現在の自分のあり方や将来のキャリアの積み上げ方を考える上でのヒントになるのではないかと感じております。