「カリスマ体育教師の常勝教育」

原田 隆史(はらだ たかし)著  日経BP社  1400円+税 2003年10月20日初版発行


この本は、現在大学講師をしている著者は、中学校の体育教師をしていたときに陸上部の顧問として、短期間で全国大会の常連校にまで押し上げ、かつ日本一の選手を何人も輩出するために、どのような教育姿勢で臨み、その姿勢をどのような形で教育方法に具現化されたのかを示した本です。

著者は、この本の中で、生徒の心を強くすることと、心を研ぎ澄ますことの二点が大事であると述べています。心を強くするというのは言い換えれば自信をもつということ、心を研ぎ澄ますと言うのは、人への気遣いや自分自身の不足している点に気づいて補っていくなど、広く注意を向けるようになるということでしょう。

そのために、著者は、生徒への指導で次のことを重視していました。「態度教育」「目標設定」「やりきること」「日誌」です。「態度教育」は、まじめに生きることがとかく軽視されがちなこの世の中で、まずは社会とまじめに向かい合う心構えを持たせるために、日ごろの整理整頓、姿勢、挨拶ができるようにようにするというものです。このようにすることによって、人への気遣いなどができるようになり心のアンテナの感度が高くなっていくそうです。

「目標設定」は、「やりきること」と一体になっています。例えば、著者の場合だと、目標設定用紙を開発し、それを生徒に書かせて、例えば「砲丸投げで卒業年度に日本一になる」ということだったら、そのために何をしていくのか、何を心がけていくのかを書き、実際にその目標に向かって、目標設定用紙に書いたことを続けていきます。そしてその立てた計画をやりきらせることで、自信がつき、動じることのない心が身についていくとのことです。目標設定用紙については、長期目標から短期の目標まであるのですが、この指導を続けていくことで、最終的には予告優勝を成し遂げることができる生徒も出てくるようになったとのことです。

そして「日誌」は、自分の気持ちや現在の状態を整理するのに、重要なアイテムになるとのことです。そして、心を整理することによって、自分はどのようにしていったらよいのかよりはっきりとしてくるもののようです。

文部科学省では「生きる力」を推進していますが、その生きる力として「自分で目標を立てて、それを達せいする方法を考えてやりきる」というようなことが例として上がっているそうです。しかし、そのような人間をどのようにつくったらよいのかという方法は語られておらないのが現状です。著者の実践してきたことは一つの方法なのではないかと著者自身が述べていますが、私もそのように思います。

この本で述べられている方法は、別に陸上競技や中学生の指導に限ったものではなくて、例えば、自分自身の将来の目標設定にも使えることなのではないかと考えています。日常を漠然と過ごしていたら、どうしても、楽な方へ流されてしまうのが人情というものですし。この本の方法を自分に用いてみるのもよいのではないかと感じています。



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