「週末起業」

藤井 孝一(ふじい こういち) 著  筑摩書房(ちくま新書) 680円+税  2003年8月10日初版発行


最近は、大手企業に勤めていても、賃金がカットされたり減給されたり、リストラの嵐が吹き荒れたりするようですが、そういうサラリーマン受難の時代に、座して死を待つよりも何か自分なりに対策を立てませんかというということで、著者は「週末起業」というものを一つの手段として提案しています。サラリーマンに限らず起業をする場合というのは失敗するかもしれないという大きなリスクを背負うことになりますし、仮に成功をするとしても、突然成功をするわけではなく、成功するまでにはそれこそ辛酸をなめるような時期も続きます。そのようなリスクを可能な限り減らすため、まずは会社で働きながら試しに自分がやってみたい事業を自分の持っている資金の範囲内で始めてみたらどうでしょうかということが提案されています。そうすれば、仮にはじめた事業が失敗したとしても会社に籍があるわけで、事業につぎ込んだ資金は痛い授業料だった程度であきらめることができますし、第一、事業が軌道に乗るまで、会社から給料が得られるので、経済的に苦しい状況にたたされることもありません。

著者自身も、金融会社に勤めながら、中小企業診断士の資格を取り、会社に勤めながら、コンサルタントとして独立することを目指したそうです。はじめは、先輩の診断士を手伝いながら、仕事をとる機会をさぐっていたそうですが、理不尽な仕事をまかされることも多かったそうですし、はじめはまったくコンサルタントとしての収入はなかったそうです。そのような中で、脱サラをして、中小企業診断士として独立されていた仲間の中では、生活費を稼ぐためのアルバイトに追われ、消えていった方もいらしたそうです。私が資格予備校で少しアルバイトをしていたときも、税理士の資格を取って独立したが、仕事がないので、講師になりましたという方がおられましたし、独立するのはとてもたいへんなんだなと思いました。

またこの本では、週末起業の効用として、社外での活動を通して身につけたスキルや人間関係が自分の会社での仕事でも大いに役に立てることができるということと、地域社会や家族との絆を深めることもできると語っております。また、私が思うのですが、これの応用で週末は学生になって、学問をがんばるとか、週末は研究者になって、研究をがんばるといった応用もきくのかなとも思います。なんにしても、会社での仕事は日々の糧を得るためと妙に達観されている方々よりは、会社での仕事に情熱を燃やしたり、会社以外にも、週末起業のようにさまざまに活動をしてよりよく生きていこうと考えておられる方々にとても惹かれます。



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